堀江物語

室町時代成立の御伽草子の物語『堀江物語』は、両親を殺された月若が成長して仇を取る話となっています。この物語では堀江塩谷氏の描写が多くなされています。

この堀江物語を描いた「堀江物語絵巻」は、岩佐又兵衛が制作した、執拗なまでの装飾性を示す極彩色絵巻、いわゆる「又兵衛風絵巻群」のひとつです。岩佐又兵衛は戦国武将荒木村重の子で、誕生翌年、織田信長により一族ほとんどが滅亡させられますが、救出され京都で絵師として成長。40歳ころ越前福井に移住、藩主松平忠直・忠昌に仕え、「又兵衛風絵巻群」を制作したとみられています。描かれた毒々しいまでの凄惨な場面は、その生い立ちと重なっています。

有名なMOA美術館蔵「堀江物語絵巻」12巻はダイジェスト版です。より描写が丁寧で、制作時期もより早い20巻規模と想定される「堀江物語絵巻」があり、うち6巻分の現存が確認されています。香雪美術館の3巻および三重県個人蔵1巻、長野県長国寺蔵1巻、そして京都国立博物館にて保管されています。最終巻にあたる長国寺蔵1巻の直前の巻で、主人公が仇討ちを果たすクライマックスシーンが描き綴られています。

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